糸口を掴み、勝利を確信した嘲笑。


軋む身体を起こし、膝に手を当てながら立ち上がる。


腰の剣を抜刀すると、あろうかとか自身の左腕を突き刺した。


静かに剣を抜き取ると、マリと同じように身体に纏わりついた青い炎が傷口に集まり癒し始める。


確証は得た。もうなにも恐れることはない。


タネが見破られたトリックなど、子供騙しにもなりはしない。


「細胞の爆発的な分裂によって、俺の身体の中で破壊と再生が繰り返されているわけか。新たな細胞は古い細胞を殺し、さらに新しい細胞によって古い細胞が……と言った具合に破壊と再生の輪廻が出来上がる。魔物憑きの身体でなければとっくに死んでいただろう」


「……どうやら馬鹿ではないみたいね。だけど仕組みがわかったところで貴方は私を殺せない」


「殺せない? ふ、ふははははははっ!」


狂ったような笑い声。


壁に反響し耳に届く狂気の声は、マリの背中に冷たいものを伝らせた。