忘却の勇者


すぐに歩みを始め、奥の牢獄へと進んでいく。


エクターは後ろ髪を引かれながらも、オレオの後を黙って追った。






―――サイは自分にかけられた時魔法が解かれるのを確認すると、ゆっくりと立ち上がる。


まだ微妙に魔法が残っているのか身体は思うように動かないが、歩行になんら支障はない。


小さく溜息を溢しながら痛みが激しいミゾオチに手を当てると、上着のポケットからピピピッという機械音が鳴った。


そこからケータイを取りだし画面に写った文字を一瞥すると、通話ボタンを押して耳に当てる。


機械から届いた第一声は「ようっ!」という陽気な声だった。


こっちは痛い思いをしたばかりだというのに……。


この状況に合わぬ声色に肩を竦めるが、すぐに表情に笑みが戻った。


「そっちはどう?」