オレオの目には、上司と部下という上下関係とはまた別の何かが、エクターに恐怖心を植え付けているように見えた。
「オレオがネシオルの人間だからというだけで、魔王を倒そうとしている人を幽閉するのは間違ってる」
「間違っているいないの問題じゃないんだ。勇者とはいえ彼もネシオル人。祖国が火の海になれば我々に牙を剥くかも知れん。ただでさえ魔王がネシオルの手中にある今、これ以上奴らの戦力を増やすわけにはいかない」
「オレオがそんな安っすい男じゃないくらい、ケイさんの眼ならわかるでしょ!」
「私の眼は万物を視ることは出来ない。腹の底など、誰にもわかりはしない」
「……やっぱり、わかってくれないんですね」
ケイの立場も性格も、エクターはよく知っている。
だからこうして、独断でオレオを助けようとしているのだ。
やるしかない。話し合いはもはや無用。
「わかりたくもないさ、未だに異邦人の死を抱え込んでいる情けない軍人の心情な―――」
目の前を通り過ぎた一閃に、サイの言葉は断ち切られた。


