忘却の勇者


「ごめんなさい!」


みぞおちに重い拳をお見舞いすると、門番の身体はくの字に折れ曲がり膝をついた。


ドスッとあまりにも鈍い音が辺りに響き、談笑をかわしていたエクターともう一人の門番がこちらに向き直る。


オレオはすかさず残りの門番の懐に入り込むと、先ほどと同様に拳を一発喰らわせた。


最初からこうしていれば良かったと後悔している最中、エクターは腹部を押えながら額に青い筋を浮かべている。


勇者の一撃をモロに受けるなんて……。


床に倒れる門番に目を向ける。


白目を剥いて口から泡を吹いている軍人。


間違いなくオレなら死んでた。オレオが敵じゃなくて良かった。


一安心なのか恐怖なのか、エクター自身もよくわからない感情に浸りながら、扉のキーを解除した。


刹那、眼前に向けられた銃口。