忘却の勇者


え、ちょ、なに考えてんのこのおっさん?


もしかして僕を落とそうとしてる!?


「そういえばお名前を伺っていませんでしたね。私の名はイワヒ、お譲様は?」


「お、オレ子です……」


「オレ子さんですか。素敵な名だ」


口から咄嗟に出た偽りの名に、どこに素敵な要素がある。


頬に当てられた手が、唇に移動する。


エクターに助けを求めようと目配せするが、彼はもう一人の門番と今だ談笑中。


役立たずである。エクター仕事しろ。


もう無理だ。我慢の限界だ。


大人しくしていろと言われていたが、このままでは違う意味で身の危険が迫りそうだ。


「もしお時間があったら、私と一緒にお食事でもいか」