忘却の勇者


門番と談笑をかわすエクターの隣で、オレオは顔を伏せながら拳を強く握っている。


いくら周りの目を誤魔化すためとはいえ、なんで僕が女装なんて。


この作戦が終わったら一発ぶん殴ってやる。


そう心に誓っていると、門番の一人がオレオに話しかけてきた。


「それにしてもお若いですね。失礼ですがおいくつですか?」


「え、あーと、十五です……」


なるべく声を高くして裏声で喋ってみるが、慣れないせいかしどろもどろになってしまう。


「まだお若いのに軍に志願なさるとは、いやはや流石鉄血の十三騎士の候補生になるお方、肝が据わっておりますなぁ」


「あ、ありがとう、ございます……」


早く終わんないかなぁ。裏声出すの意外にキツイんだから。


「それにしてもお美しいですなぁ。美少女に大剣というのも、可憐さの中に危険な香りが漂って底知れぬ魅力がある」


そう言うが早いか、門番の手がオレオの頬に触れた。