三対一という見た目では不利な状況ではあるが、サイにとって数など意味をなさないだろう。
白銀の剣を握りしめ、三人の動向を伺う。
ボールスはアグロとアレミアに目配せすると、二人は頷いた。
最初に動いたのはボールスだった。
目にも止まらぬ速さでサイの背後に回ると、刀を勢いよく振り下ろす。
けれど彼の能力は既に割れている。
サイの周囲に張られた結界がボールスの攻撃を弾いた。
宙に浮く身体。
ケイは結界を解除して左手をボールスに翳すと、掌に魔力を集中させる。
地に足が付いていなければ持ち前のスピードは生かせない。空中では回避不能。
「はぁっ!」
キンッと金属音が響き渡る。


