買った食材を一度自宅へ置きに戻り、森へ出かける準備を済ます。


腰にポーチを携えると、額のバンダナを締め直し、銀髪を靡かせながら颯爽と森へ向かった。


森に到着してはいいが、薬草を見当たらず見つかるのは子犬ぐらいの大きさをした巨大なアリの魔物のみ。


なぜか襲い掛かってきたので、右足のふとももに巻いたベルトに仕込んだ幾つかのナイフを一本抜き、躊躇なくアリの頭に投げつける。


見事に命中すると、アリは手足を小刻みに震わせ死に絶えた。


死亡を確認して頭部のナイフを引き抜くと、アリの血液を近くに生えた木の葉でふき取りベルトに収めた。


無駄のない一連の動作。この魔物は以前からこの森に住み着いており、この程度の魔物ならすぐに始末できる。


だとしても、その鮮やかな動作は目を見張るものであった。


再び薬草探しにいそしむと、十分ほどでお目当ての薬草を見つけ採取した。


と、薬草が生えていた近くのエリア、背が高い草むらの中に異様な物体を発見した。


黒い謎の物体。