気付くとオレオはマリの胸の中だった。


一瞬なにが起こったのか理解できなかったが、耳元からすすり泣く声が届いて状況を把握する。


「私が絶対に忘れさせない。コーズが凄い馬鹿でロリコンでどうしようもないアホで自分のことより他人のことを心配する救いようのないお人よしだってこと、私が絶対に忘れさせない」


「マ、マリ?」


「忘れさせないから。毎日コーズのこと話す。もう嫌だって思うくらいあいつとの思い出を話すから。だから……」


ギュッとオレオを抱きしめながら、マリは言った。


「今は思いっきり泣いていいんだよ?」


耳元から聞こえる掠れた声。


オレオは困ったように微笑むと、マリの背中に手を回してポンポンと優しく叩いた。


「そんな豪快に泣かれたら、もう泣くに泣けないよ」


「……いいの。オレオが泣かないから、代わりに私が泣くの」