きっとコーズもそれを望んでいるはずだ。


意を決してオレオが休み寝室へ足を運ぶ。


ベッドの縁に腰掛けたオレオの姿を、テーブルランプの淡いオレンジの明かりがボンヤリと照らしている。


足音に気付いたのか、オレオが顔を上げた。


オレオはマリの姿を一瞥すると、すぐに視線を伏せて自嘲気味に微笑んだ。


「僕なら大丈夫だよ。時期に忘れてしまうから」


ポツリと放たれた言葉に、マリは眉を寄せた。


「忘れるってどういう意味?」


自分を心配するマリを安心させるために、オレオが口にした言葉の意味。


その真相はマリが想像している以上に深く暗いものだった。


「数ある勇者の特殊能力の中でも、特に異形とされるものがあるんだ。強い怒りと悲しみを強制的に抹消させる能力。つまり“記憶操作”だよ」


オレオは続ける。