忘却の勇者


「嗚呼、それまで持ちこたえるよ」


笑みを溢しながらエクターは言う。


援護などいらぬといった口調から、自信が伺える。


それもそうだ。彼は十三騎士のNO.Ⅳ。


相手が灼銅の魔人とはいえ、そう易々とやられる玉じゃない。


「じゃあ行くぞ……」


コーズは腰のポーチに手を伸ばし、球状の物体を取りだすと地面に強く叩きつけた。


球体からは煙が噴き出し、それを合図にオレオはフローレンスの元へ駆け出す。


視界を奪われたイクトであったが、彼は至って冷静で剣を構えた。


視界を奪われた以上無暗に動き回るのは得策ではない。


視界を奪われても足音で大体の居場所は把握も可能。


煙の動きを察知して、相手の動きを予想することもできる。