忘却の勇者


それともイクトの統率が悪かったのか……。


いずれにせよ、フローレンスは連戦に次ぐ連戦で体力を消耗し気を失ったようである。


だからといって命に別条がないとは言い切れない。


「で、どうする隊長さん? あっちは噛ませ犬一匹にこっちは三人。勝機は十二分とあると思うが?」


イクトに聞こえぬよう小声で話す。


エクターは視線を伏せて思案するが、すぐに顔を上げて答えた。


「……いや、フローレンスの救助が先決だ。オレとコーズの二人で噛ませを足止め。その隙にオレオが彼女を抱えて洞窟から脱出といこう」


人一人を抱きかかえた状態で素早く行動できるのは、人並み外れたパワーとどんな暗闇でも先を見通すことができる眼を持つオレオだけだ。


人工太陽は一つのみ。道中に残党の魔物が現れても、オレオの足と力なら撒くことが出来る。


まさにオレオが適任者だ。


「わかった。フローレンスさんを安全な場所に移したら、すぐに戻って来る」