忘却の勇者


どこかで見たことがあると思ったら、間違いない。


「十刀流(笑)! 十刀流(笑)じゃないか!」


明らかに馬鹿にしたコーズの言い方に、こめかみの血管がピクリと反応した。


「知り合いか?」


「嗚呼、新キャラが登場する度にしつこく現れる噛ませ犬さ」


あながち間違いではない。


レインにやられ海に放り捨てられたイクトであったが、どうやらゴキブリ並みの生命力の持ち主のようだ。


身体の傷は完全に癒え、こうして目の前に現れている。


「おやおや? これは勇者殿にそのお仲間。こんな所で出会うとは奇遇だな」


「黙れ。なんでテメェがここにいんだよ気持ちわりぃ」


「それはこちらの台詞だ。この女に襲われた時は不運だと思ったが、まさかお前たちがアモールに来ているとはな」


イクトがアモール帝国に来たのは別の理由があるようだ。