忘却の勇者


他の魔物達は、その何者かを恐れて洞窟の奥へ逃げ込んだ。


そしてその何者かは間違いなく。


「行こう。この先にいるはずだ」


先ほどより早足で奥へ向かう。


少なくとも何者かが生きていることはわかった。


だが無事であるという保証はない。


点々と続く黒い染みがそれを物語っている。


重症。というわけではなさそうだが、問題はアモール帝国の最高戦力に傷を負わせた魔物が存在することだ。


―――フローレンスが手こずるなんて信じられない。


渋い表情のエクター。


彼の心中を察しているのか、オレオとコーズは一言も言葉を発さない。


詳しい説明など受けていないが、明るく人懐っこい彼がここまで真剣な表情を見せるのだ。事の重大性がわからぬほど馬鹿じゃない。