「……帰る。後のことは任せるぞ」


最後にそう言い残し、サイの身体は大気に溶けて消えた。


サイの姿を消えたのを確認すると、オメガその場にしゃがみ込んだ。


冷や汗がどっと溢れる。


額に溜まった大粒の汗を拭うと、ふぅーと小さく息を吐いて激しい鼓動を鎮めようとしたが、心臓はバクバクと忙しなく鼓動を刻んでいく。


面白半分で挑発してみたはいいが、まさかあれほどの殺気を当てられるとは思ってもみなかった。


「本来の十分の一の魔力で十人の聖者候補を倒すか……私が神なら、奴は悪魔だな」


目を細め、口の端を上げるオメガ。


無機質な礼拝堂に、不気味な笑い声が木霊した―――