ピリピリと肌が痺れ、その不快な感覚にレインは舌打ちをした。


レインを苛立たせる原因は、灯台の影からゆらりと現れ姿を晒した。


腰と背に十本の剣を携えた、灼銅の瞳を持つ男。


コーズとマリが討伐隊に引き渡しはずのイクトであった。


衣服には所々に黒い染みが点々と付着しており、この男がなぜここにいるのかという回答を暗黙のうちに記している。


「魔物憑きか」


表情が変わるレイン。


コーズに罵倒を浴びせた時の何倍もの嫌悪感が滲み出し、彼の周りに魔力の渦が漂い始める。


少年の只ならぬ魔力を感じ取ったのか、イクトは腰の剣に手を伸ばし臨戦体制へ。


「面白い」とレインは一言口にして一歩前へ進むが、アモスがレインの腕を掴み制止させた。


「儂がやる」