身体の傷跡は消えているが、衣服に空いた穴は残っている。


確実に仕留めたはず。生きているはずがない。


だが仕留めたはずのその人物が今こうして自分の身体を拘束しているのだ。


それは紛れもない事実であり現実。


「ははっ。おっかしい」


笑い声を上げたのは、意外にもマリであった。


肩を震わしていたのは、涙を流していたからではない。


イクトの間抜けっぷりに呆れ果てていたのだ。


「魔具の発動も見抜けないなんて、騎士団で一体なにを学んでいたのかしら」


「魔具の発動だと? ふざけるな! 俺が見過ごすわけなどない!」


「そのまさかさ」


コーズはポーチから一体の小さな人形を取りだした。