腕を伸ばそうとした瞬間、右腕は一本の鎖によって自らの身体に密着し拘束された。


身体に何重にと巻きつかれた丈夫な鎖。


ギリギリと締め付けられ圧迫感を覚える。


「なんだこれは!?」


その疑問はすぐに解消される。


イクトの背後に立つ人物によって。


「赤銅の魔人とやらも、案外対したことねえな」


鎖の先を両手で掴む青年。


イクトはその人物を知っている。知っているに決まっている。


なぜならその人物は、つい数分前にこの手で仕留めた男なのだから。


「馬鹿な!? 五臓六腑を貫いたんだ! 生きているわけがない!」


コーズの身体に刻まれたはずの刀傷は、全て綺麗に消えていた。