魔法道具、通称魔具と呼ばれるアイテムを販売しているこの店で、住み込みで働いている明るく可憐な少女である。


なんでもマリ見たさで店を訪れる客もいるそうで、店の売り上げは上々だそうな。


店内の掃除が終わり、次は店先に移る。


客がやって来る前に掃除を終わらせようと意気込みながら店の扉を開けると、


「……え?」


店の前で人が倒れていた。


黒髪に黒のロングコートを羽織った少年。


背丈はマリと同じくらい。いや、マリの方が僅差で大きい。


腰には見慣れぬ剣を携え、うつ伏せに倒れこんでいる。


生き倒れ? それとも変質者?


とりあえず箒の柄の部分で背中を突くと、指先がピクリと反応した。


どうやら生きてるようだ。