忘却の勇者


「言ってる側から言わんこっちゃない……」


溜息を溢すと、呆れたように頭を掻いた。


シキはなんだかんだで余裕の表情を浮かべているコーズに、言いようのない不安を覚えた。


「だ、大丈夫なのかあの少年?」


「うーん……あれくらいじゃ死なないんじゃない?」


いや、普通死ぬだろ。


思わずツッコミそうになったが、その言葉が発せられることはなかった。


肉と骨が断たれる嫌な轟音が耳に届く。


ベモスの右前脚が縦に断たれ、バランスを崩したベモスは大地に倒れ込んだ。


粉塵が舞い、紫の体液が雨のように降り注ぐ。


その中心に、黒刀を振り上げているオレオがいた。


血なまぐさい臭いにコーズは顔をしかめる。