猫又は夜に鳴く


「それ、前からしてたっけ?」

その問いに彼は少し目を見開くと、首を横に振って見せた。

「俺のお守りなんだ。今日は大切な日だったから……付けてきちゃった」

そう言って彼は大事そうに鈴を指で弄ると、優しく笑って私を見つめた。

「俺が彩乃を絶対幸せにするよ。ずっと俺の傍に居て」

その甘い囁きと共に彼に腕を引き寄せられ、ギュッと抱き締められる。

「愛してる……彩乃」

彼の愛の言葉に頬を赤らめたまま愛しい温もりを感じると……ギュッと彼を抱き締めた。

「彩乃は……俺のモノだ」

風に消えてしまいそうな程に微かな彼の囁きにそっと顔を上げると、漆黒の空に浮かぶ美しい満月と……彼の妖艶な笑みが見えた。