猫又は夜に鳴く


「会社からだ……ちょっとごめんね」

彼は携帯電話の通話ボタンを押すとそれを耳に当てた。

「……あ、はい。わかりました。はい、失礼します」

そう言って電話を切ると、彼がまた「ごめんね」と笑った。

その瞬間、《チリン》と小さな鈴の音が聞こえた。

それはどうやら彼の携帯から聞こえた様で、彼の手に収まったままの携帯電話を見つめる。

そこには……小さな鈴が揺れていた。

ストラップの様に、彼の携帯電話には小さな鈴が付いている。