猫又は夜に鳴く


その後、案の上父の《酒持ってこい》コールが始まり、お食事会が宴会へとシフトチェンジする。

母と祖母と私は舐める程度でお酒を楽しみながら、最近の出来事を報告し合った。

その隣で上機嫌で酔っぱらう父に勧められるがまま彼がお酒を飲む。

彼も少し頬を赤く染めたまま、楽しそうに父と昔話に花を咲かせていた。

「彩乃はな、昔は《お父さん、お父さん》って俺の後をついてきて、本っ当に可愛かったんだよ。今じゃこんな可愛げのカケラもない女になっちまったけどなぁ」

父はそんな事を彼に向かってしみじみと呟いた。

彼はそれに困った様に笑いながら、でも凄く優しい瞳をして父の話を聞いていた。