―優等生乱用


「俺が思うに

泣くこと自体、人のためじゃなくて

自分のためだと思う。」


「自分のため…??」

私は一呼吸置いてから言った。


「泣くのは自分のためになるの?」


彼はまた考える。

少々、難しい質問をぶつけすぎたか。


「なるんじゃないかな??

俺も分からないけど。」


ですよね、
曖昧な答えが返ってきて
肩を落とす。

兄貴が全部正しいというわけじゃない。

兄貴はこの世界のちっぽけな人間の一人なんだから。