「先生、守ってよ」


私は大塚の裾をギュッとつかんだ。


さすがの大塚もこれには戸惑う。



最後の手だ。


秋、私が好きなのは秋だけだから

許してね。



「先生、守って」


私は爪先を立てて

大塚の唇にそっとキスをした。


身長のせいで唇に触れる事しかできなかったが

唇を押さえ、赤くなっている大塚には効果ありだ。



「なんで…」

それ以上、言葉が出なく

ずっとあわあわしている。


「罪だね」

私たちはとうとう禁断に手を伸ばしてしまった。


仕方ない。

これも秋との交際を阻まれないため。



私は鼻で笑った。


「これで私と先生の間には誰にも知られてはいけない秘密ができた事になるね」


「でも…俺は被害者じゃ…」


私は大塚の顔の前に人差し指を向けた。

そして嫌味ったらしく先生口調で言ってあげる。



「いいですか?先生。

大人が捉えるのはキスを

“した”“された”ではなく

“した”“してない”です。


この事によって先生は生徒とキスをした事になります。」