『1人で溜め込んじゃ駄目だよ。さっきだって俺の名前を大声で呼べば良かったんだよ』
掴んでいた手ん離して、代わりにその手でぽんぽんて頭を撫でてくれた。
「ありがとうございます……っ」
その優しくて大きい手に、何だか泣きそうになってしまった。
『竜だったら、なりふり構わず人工呼吸だってしちゃうんだよ』
「でも……さっき私を放っていきました」
『……その点に関しては最悪だな』
竜さんの中で葛藤があったのかとかは分からないけど。
でもそもそも、私が自分を竜さんの中で、美月さんよりも優先してくれるもんだと考えてたことが間違ってるのかもしれない。
だって私は竜さんにとっての美月さんの存在の大きさを推測でしか知らないわけだから。
今は竜さんが私を優先してくれないんだったら、私が大きくなっていったらいいんだ。
ポジティブシンキング
であらないとっっ!!
『でも竜は、那子ちゃんにだったら人工呼吸出来ないだろうな』
「………?」
真人さんの考えてることはやっぱり良く分からない。



