ズキン
と胸になにか刺さったみたい。
なんの躊躇もなく唇に触れる竜さんは、私には見たくない光景だった。
くるりと方向転換してこの場を離れる。
だって耐えられなかったんだもん。
『那子ちゃんっ!?』
真人さんが呼んでるけど私はスタスタと早足になっていく。
『那子ちゃん!!』
掴まれた右腕。
「はなっ……」
離して下さい
って振り返ろうとして目に入った真人さんの真剣な表情に思わず息をのんだ。
「真人さん…?」
その表情のまま、私を見つめたまま動きがない。
私がそう聞いた瞬間、真人さんの目が、より鋭くなった気がした。
『もっと俺を頼って』



