『腕、赤くなっちゃったね』
そっと腕に触れる真人さん。
今触れられた体温にはさっきみたいに嫌悪感は全くなくて。
「助けてくれてありがとうございます…」
『当たり前でしょ?』
「そ…ですよね、当たり前ですよね」
その当たり前をしてくれなかった竜さん。
別に責めてるわけじゃなくて。
ただ、私より美月さん優先な現実にショックを受けただけ。
そう言えば美月さん大丈夫だったのかな。
…竜さんが助けに行ったんだし大丈夫か。
「なんで真人さん、来てくれたんですか?」
真人さんも美月さんが溺れてることに気付いていただろう。
『いや、俺は美月より那子ちゃんが帰って来ない方が気になって…』
真人さんは少し恥ずかしそうに、そう言った後、『ほら、永樹とかあそこに』と紛らわすように指差した。
永樹さんの隣にいるのは一さん。
その2人が見つめるのは、横になっている美月さんと、
美月さんに覆いかぶさって、人工呼吸をしてる竜さんだった。



