4人の嵐



自分でなんとかしないと







「放して…」


『嫌だよぉ』


「放してっていってるの!」



目に溜まった涙の理由は、どっちのせいなのか分からないけど。




『泣いちゃって…可愛いねぇ』



私は腕を精一杯ふって、なんとか逃れようとする。




なのに一向に腕は解放されなくて。






その間も引っ張られて、どんどん奴のテリトリーの中へ引きずり込まれてしまう。



『友達もいるからさぁ……、男ばっかだけどねぇ』



「やだやだやだ!!!!」




ムカつく。
こんな奴さえも自分の思い通りにならない、自分の非力さに嫌気がさす。





下唇をギュッと噛んだせいで、痛みが走り、少しだけ血の味がした。



『血、出てるよぉ?』

「触んないで!」


唇に奴の指が触れた時には、嫌悪感しかなくて。



『……いい加減にしろよ!』


「っっ!」


私を掴んでない方の奴の腕が振り上げられて、目をきつく閉じて身構える。




『女の子を脅すなんて、ましてや那子ちゃんをだなんて………見逃すわけにはいかないね』



語尾のばし野郎の動きを制止させて、満足そうに微笑んだのは……




『大丈夫?那子ちゃん』





真人さん…。




『どっか行かないと……、知らねえよ』


『うっ……』



真人さんの妙な迫力に、語尾のばし野郎は悔しそうにどこかに消えていった。