4人の嵐



このままだと誘拐……




じゃなくて…っ




「りゅ………さん」


頭に浮かんだのは竜さん。





助けて、竜さん……



『はい、ストップ』


「へ……?」



頭上に聞こえた声に振り替える。





「…竜……さん」



本当に来てくれた。



『その手、放して』


竜さんは語尾のばし野郎の腕をギリギリ握る。



嬉しくて嬉しくて、ビリリ、って体に電流が流れたみたいに感じた。




……でも、次の瞬間、まさか感電してしまうなんて思わなかったなぁ。









『誰か溺れてるぞー!!』


焦ったような誰かの声に、竜さんも私も、語尾のばし野郎までも騒ぎの方へ目を向ける。


すると目に映ったのは、沖の方で水しぶきと共に、女の人がもがいている。



『……美月っ!!!』




竜さんは、そう叫ぶと握っていた手をあっけなく放して、海に飛び込んだ。







溺れてるのは美月さんだったんだ。




『見捨てられちゃったねぇ』


ニヤリと笑う語尾のばし野郎の必殺技、語尾のばしに、苛々さえも出来ないくらい、なんだか空っぽだ。