“可愛い”は竜さんにとってタブーだったんだ｡
『でもね､竜は那子ちゃんと会ってから､少なくとも那子ちゃんに対してはうっすら､男らしくなった気が俺はするんだけど…』
どうかな？って真人さんは笑うんだけど…
「確かに可愛いじゃなくてカッコいいと思ったことはあります…」
『それが多分あいつは無意識だから…』
その先を話しだそうとしない真人さん｡
「……？」
『…この先は俺から言ったら駄目だから』
「はぁ……」
意味の理解が出来ない私はなんとなく返事を返すしか出来なかった｡
でも､竜さんがそんなことを引きずってたなんて知らなかった｡
それに､理由はどうであれ頭にこびりつく女性がいたことも｡
美月さん……､大人っぽくて､綺麗な人だったなぁ｡
