些細な事が、亀裂を引き起こす原因になるんだ。
一さんから話を聞いて、考えてみれば、話し掛けないでって言う美月さんの言葉だって、吹っ切るための美月さんなりの一歩だったのかもしれない。
『あ、でもさ、竜はもう美月の事吹っ切れてるし、美月だって多分もう大丈夫だから…、今更どうこうなるって話でもないんだけどね』
ちょっと煮え切らない感じに笑ってみせる一さんは、きっと、2人の事がほっとけないんだなって思った。
「一さんって優しいですよね」
『へ?俺?』
「はいっ、一さんのそういうとこ、私大好きです!」
『……あ、ありがと』
照れくさそうに頬をかく一さんは、少し赤い顔を紛らわすように勢いよく立ち上がって、私の手元のトレイを持ってくれた。
『聞いてくれてありがとね。上、もどろっか』
「はいっ」
私は一さんに続いて階段を上った。



