4人の嵐



あの人には遠慮ってものが備わってない。


「唾液って………!」

1人で顔を赤くして馬鹿みたいだけど、熱くて、熱くて。


『那ー子ちゃん』

そこで、背後から声がした。

「一さん…、どうしたんですか?」

その声の主とは一さんで。


何か用事か、と首を傾げたのは私。

『いや、あのさ…那子ちゃんと話がしたくって』

「は、はい」


私が人数分の飲み物を用意している傍らで、リビングの椅子に座る一さん。

何か、不思議な空気。


『美月の事なんだけどね…』


まさか、今、美月さんの名前が出てくるだなんて思っていなくて、私は一瞬手を止める。


『話していい?』

「どうぞ」

でも、今私が美月さんを拒否する理由は何処にも無くて。




『美月の事、誤解しないであげて欲しいんだ』




頷いた一さんは、ゆっくりと話しだした。


『美月が言ったわけじゃ無いんだけどね、あいつは不器用で、馬鹿だから…。きっとあいつはずっと竜の事好きだったんだ』


「でも!酷い事ばっかり言って…!」


一さんはそう言うけど、私の記憶では、美月さんは竜さんに悉く酷い言葉を吐いたんだ。


『その裏に美月のどんな気持ちがあったかなんて、推測で人に諭すべきじゃない事だなんて分かってるんだけど…。

どうしても、誤解があったままじゃ嫌でさ。
あの可愛すぎるだとか、竜に言ったのだって、自分が男っぽい事気にしてた美月に、竜が悪意なしにだけど余計な事言ったんだよ…。まぁ他にも色々あったみたいだけど……。そっから美月も引っ込み着かなくなって結局別れちゃってさ…、馬鹿だよな…本当』