振動は、予告を意味する。
「…来る……」
そして予告通り、暫くすると、外からは騒がしい足音。
『うっ…!さっき食べたカレーが…!』
『おい!出すなよ竜っっ!』
『カレーじゃ喉は潤わない』
『永樹…、カレーを飲む想像はせんでいい』
騒がしい。
ドタドタドタドタ。
それに加えて…、何だその会話は…!
声でかいし、ご近所迷惑だし。
『…おっじゃましまーすっ!』
「だから皆さん静かに…!何度も言ってるでしょう!」
玄関を開けて飛び込んで来たのは、
『ごめんごめん……』
頭を掻いて眉を下げる竜さん。
『今日の管理人さんしつこくてさーっ。参っちゃうよ』
膝に手をあてて呼吸を整える一さん。
『液体が欲しい』
液体(=飲み物)を欲する永樹さん。
『那子ちゃんの言う通りだぞ…っ』
腰に手を当ててため息をつく真人さん。
見て分かるように、私は変わらない日々を過ごしていた。
私の心配していた亀裂は進行を止め…………、いや、最初から亀裂なんて入っていなかったんだ。
全ては私の勘違い。
嵐の絆は脆くはないって事。
私はまた嵐達と過ごせる日々をとてつもなく嬉しく感じていた。