『我慢してたモノを食べれた時の満足感ったらないよね』
唇を離して笑う永樹さんは妙に色気を纏っていて。
「が、我慢してたんですか…っ?」
まさか、今までの中で永樹さんが我慢していただなんて。
信じられない真相。
だって、十分欲望に忠実故の行動に思えたから、
今までのセクハラが。
『当たり前でしょ?現にほら、キスしたの初めてだよ?』
しらをきる様子のない永樹さんは、いたって真面目で。
疑問を持つ私に疑問を持っている。
「あれで我慢してたなんて……!」
これから、恐らくその"我慢"は無くなるわけで。
『あー、楽しみっ』
可愛らしく笑う永樹さんには似つかない、私の頭の中の永樹さん。
「…お、お手柔らかに……っ」
早くも逃げ腰の私だったけど、背には壁、前には永樹さん…………
『そういえば俺………』
逃げられる場所は何処にもなく、
『ご褒美貰ってない』
遂に、
ロックオン。



