4人の嵐



「永樹さん…!」


握る手はしっかりと強く。
緩める気もなければ止まる気もないようで。


いつの間にか、

「ここって………」

『俺ん家、悪い?』


永樹さんの家で。

「いや…っ、悪いって言うか、その…突然すぎて………」


いきなり連れて来られて意味が分からない。

見るからに一人暮らしっぽいし。


その…やっぱり永樹さんだし、警戒心剥き出しで迎え撃つ気満々と言いますか………。


『だって俺、今パニックなんだもん』

「パニックには見えませんが…」

目の前の永樹さんは見た感じいつもと変わった様子は無く。
とてもパニックには見えない。


『心臓ドキドキいってるよ?触る?』

「……へ…!?」

私の手を自分の心臓辺りに被せる永樹さん。




――ドクン、ドクン




感じる音は早く。

手のひらを通じて私に響く。


「…分かりにくすぎですよ」

『でも、今は分かったでしょ?』
永樹さんは心臓にあてていた私の手を壁に押し付け、ぐっと体を寄せる。


「………!」

『俺、聞こえたんだからね。


那子が俺の事好きだって言ったの』