『那子、それ本当?』
「こんな時に嘘言いません」
『…………よし、行くよ』
頭で整理しきったのか、思い立った表情をした永樹さんは私の手を引いた。
「え…!ちょ…っ…!りゅ、竜さん…!私……!」
伝えようとして振り向いて、目に入った竜さんは、優しく笑っていて。
『分かったから、…那子ちゃん、大好きだよ!』
引きずられながら遠退く竜さんを、誰かが包んでくれる事を心から望んだ。
「ありがとうございます…!私も、大好きです!!」
どんどん遠くなる竜さんに精一杯叫ぶ。
竜さんは手を振っている。
優しくて、可愛くて、天然で、照れ屋で、意外とむっつりな竜さん。
可愛いのはマイナスではなくプラスなんだと私は思う。
それに普段可愛い分不意に男らしい所を見せられると、急にかっこ良く見えてしまう。
それを、伝えられれば良かったんだけど。
私は自分で選んだ道を行くから。
どうかいつか、気付かせてあげてくれますように。
無責任で勝手な私じゃなくて。
ありがとうございます。
大好きでした。



