4人の嵐



『那子がここにいる時点で分かってるけどさ、俺、そんなの嫌だ』


竜さんをキッと睨む永樹さん。


『はぁー…』

しかし、全てを知っている竜さんは、もう呆れるしかないようで。

溜息をつく。


『何溜息ついてんの?』

『つきたくもなるって!…那子ちゃんも喜ばせといてたたき落とすし…永樹だって……目の前で見せ付けられちゃったよ』



もう嫌だ嫌だ!
なんて言う竜さんは、少しわざとらしくて。

その気遣いに、私は痛くなって、それから優しい気持ちになった。


『早く行け!はい!さっさと行った行った!』


「竜さん…本当にありがとうございます…!」


その優しさは、竜さんの魅力で。
私なんかより、その魅力を分かる人はきっといる。

それは余りにも無責任な思いで、口には出せないけど。


『意味分かんない…』


1人蚊帳の外の人物は、首を傾げるだけ。


だから、耳元で言ってやったんだ。


「永樹さん」


『ん?』






「――――――――。」