4人の嵐



一は携帯を弄りながら、目線は下で、


『竜が気付くまで、黙ってようって思った。俺に諭されても意味がない気がして』


その声は依然として低く、


『でもこんな事になるなら話は別だ』

そしてこの言葉を言うと共に上がった一の顔は、長い付き合いの中見た事がないくらい真剣で。

そのまま携帯を耳に当てる。


「だ、誰に…!」

なんだか不安になって、携帯に手を伸ばす。

しかしひょいと避けられ、俺は空気を掴んだ。

立ち上がった一は一言だけ俺に告げる。

『那子ちゃんに決まってんだろ』

「なんで……!」


しかし俺の質問が返される事はなく、一は電話の向こうに意識を向けてるようだった。


俺は一の表情から、その行動を制止させる気にはなれずに、静かな部屋の中、微かにコール音が流れる。



『あ、もしもし那子ちゃん?』


繋がった事が推測できる一の言葉に、俺は硬直する。


何を、言おうとしてるんだ…、一は……。



俺が……那子ちゃんを、好き…?
そんな事、有り得ない。
だって俺は、美月がまだ…………っ…!