フられて良かった…だなんて。
どういう心境?
度肝を抜かれた私は永樹さんの言葉を待つだけ。
『だって、これで俺にしがみつくような那子を俺は好きになったつもりはないから』
そして、私の涙を拭いながら喋る永樹さん。
『あ、でも那子の事好きなのは本当だよ?
超大好き』
「あ、は…はい」
愛の告白をされてるというのに、何故かそれ特有のムードはなく。
それは永樹さんの、このゆるくて飄々とした雰囲気のせいだと気付く。
『泣いてる那子が、ムカつくくらいに好きだよ』
「……?」
全く永樹さんが分からない。
それは前々からだけど。
『あー…それにしても竜腹立つなぁ。あいつ本当なんであんな何にも分かってないんだろ……。本当ムカつくよね』
"よね"と同意を求められても私には何の事だかさっぱりで。
この人…私が泣いてるのを心配して来たんだよね…?
疑ってしまうくらい永樹さんは別の事を考えてる気がする。
関係はあるんだろうけど、独り言の内容全然分からないし。
『とりあえず那子に告白できたしいーや。焦ってもしょうがないし』
永樹さんはそう言い残して帰ろうと身を翻す。
『…こんな夜に那子と2人っきりだったら俺どうにかなっちゃいそうじゃない?』
「今すぐ帰って下さい……っ!!!」
変態は休む暇がないらしいです。



