しかしおめでたいのも束の間。
『本当はね、ちゃんと理由があるんだ……』
竜さんの、いつもと違った空気に、きゅんきゅんどころではなくなる。
『聞いて…くれる?』
「勿論です…っ」
2人きりにないたい理由は、ちゃんてあったんだ。
聞かないなんて、あり得ない。
『あのね、美月がね…』
「……っ…!」
"美月"
その名前を聞いただけで、私の中で、身構えができる。
悪い人ではないのは分かるけど、あくまでそれは竜さんの問題抜きで見た場合であって。
真人さんから聞いた、あの美月さんの竜さんへの言葉は…、とても良いものではない。
その言葉に、どういう想いが乗せられていたのかは分からないけど。
『もう喋りかけるなってさ』
「へ?」
竜さんの口調は、暗くなる。
『俺さ、本当駄目でさ。
夏に、美月と普通に話せたからって、友達にでもなれなら――なんて思って最近大学でも話し掛けたりしたんだ。
でもさ、美月はそれが迷惑だったみたいで』
そんな…。
美月さん、酷い。
竜さんは、進もうとしてるだけなのに。
『なんかこういうのって、辛いねー…』
こんな竜さん、見てられない。