アキラさんに先に歩いてもらって、へっぴり腰で井戸に近づく。
怖い!怖すぎる!!
だって、絶対なんかあるじゃん!
逆に無いはずないじゃん!!!
そして……
いよいよ横を過ぎる――……
「あ、れ…?」
意気込んでいたのに拍子抜けだ。
「何もない…?」
しかしそれならその方が嬉しい。
私は何だか得した気分で前を向いた……
その時、
バシッ!!
「……!!!!」
腕に感じる、生暖かい締め付け。
その正体は……、
井戸から伸びる薄汚れた白い手。
「っっきゃーー!!!!!」
『わ!!…な、那子ちゃん!?!?』
「きゃーーきゃーーきゃーー!!死ぬ!連れてかれる!腕もがれる!!!!」
私はただ、必死で。
本当に怖かっただけで。
『那子ちゃん…!もう大丈夫だから』
「あ…、へ?…うわ!すいません!」
アキラさんに、抱きつくつもりなんて無かったんです。
『大丈夫大丈夫』
愛想良く笑ってるアキラさんの制シャツはヨレヨレで。
私の騒ぎっぷりを物語っている。



