『俺…最低だよね』
「いえっ、あのっ!」
『俺、必死で…美月が死ん…!あ、美月ってのは「竜さんのあの……元かのさんですよね…?すみません、真人さんに聞きました」
私が美月さんを知らないと思って、途中で説明を入れようとした竜さんを止める。
『えっ?あぁ、そっか…。
それ…でね、あの…、美月の方に必死になっちゃって、……本当最低だね…。ごめんね。
嫌いに…なった?』
この人は最低だ…………と言うより
ずるい。
そんな目で
嫌いになる?
なんて言わないでよ。
元々嫌いになんてなるワケないんだけど
「嫌いになったら……悲しいですか?」
私もずるいか。
こんな質問しちゃって。
だけどそんな私に竜さんはなんの濁りもない言葉を、衝撃を、ぶつけるんだ。
『…うん。
すっごい悲しい。嫌だ。そんなの絶対、』
ほら、こんな風に私の中の核心に振動を伝える。
「……じゃあ嫌いになんてなりません」
それなのに私は竜さんみたいに素直にはなれなくて。
『本当?…良かったぁ』
竜さんの言葉1つ1つ、表情のちょっとした変化が、嬉しい。
『今度は真人じゃなくて俺が絶対守るから』



