「うっグスッ」
『ジジジジジ!!!ジジッジジジジジッッ』
だから、なんでさっきからそんなに激しく鳴くの?
「やめてよぉヒクッ」
どうすることも出来なくて、目を伏せて耳を塞いだまま。
『ジジジッブギギッギュギュッ』
「……?」
耳を塞いだままかすかに聞こえる、何か少し違う音。
不思議に思い脱衣場の方を見ると…。
逃げようともがく蝉を片手に掴む人影。
「なんで?」
なんで永樹さんがここにいんの?
カラカラカラ
『那子?』
脱衣場と温泉を仕切るドアを開けて私を見つめるのは間違いなく永樹さん。
「永…『ビキギッ』
「ひいっ!!
やっやめて!持ってこないで下さい!」
永樹さんの手で急に鳴いた蝉。
『へ?ってうわ!』
『ジジジジジジジジジジ!!!』
「きゃああああああああ!!!」
ドン!
ガラガラ!
『いてて…』
永樹さんの手から逃げ出した蝉は、あろうことか私のいる温泉に入ってきて、私は脱衣場に逃げ込んで急いでドアを閉めた。
そしたら、永樹さんを押し倒してしまった。
「ヒクッ、うっ、…うわ〜ん!!」
『え!?な、那子?』
蝉のいない脱衣場にこれた安心と、
永樹さんの体温にホッとしてしまって、爆発してしまった。



