まだ、あたしたちには気づいてない。


次の瞬間、その手に持っていたものを自分のカバンに入れようとした。


バシッ!!
あたしはとっさにその男の腕を掴み、こう言った。




「……バカなマネはやめた方がいい」


「えっ⁉な、なんで……⁉」


「……貸せ」



あたしは、手の中のものを奪い取っていた。


その男は、不思議そうにこっちを見ていた。