松任谷の情報を入手するために話を聞いているのか。

それとも、前回のような事が起こる前触れか。

「耕一さん」

僕を見た渚が笑顔になる。

「何をしている?」

「彼から、お話を伺っていまして」

男子生徒はあらゆる意味で普通という言葉が似合っている。

「前回のようなミスだけはするな」

「私を心配してくれるんですか?」

「勘違いするな」

僕は二人から離れるようにコンビニに歩いていく。

コンビニで何事もなく醤油を買うと、外でいきなり見知らぬ人間が襲い掛かってくる。

攻撃を回避し、上段蹴りで吹っ飛ばす。

胸の上を踏みつける。

「ゆっくりしてて、いいのか?」

「何だ?」

「お前の女、狙われてるぜ?」

「必要ない」

空気爆弾で男を蹴り飛ばす。

僕は早足になりながらも先ほどの場所に戻る。

誰もいない。

男の狂言かとも取れたが、僕の行動は過剰すぎたのかもしれない。

誰かからの恨みを買っていてもおかしくはない。

僕と渚が一緒にいる場所を見られており、さらわれた。

さらったのは、普通の男か。

「よく、問題に巻き込まれる女だ」