「バスケ部の人って、誰が手伝ってくれた?」


「名前はわからないけど……。 2年生っぽかった」


そして、彼の特徴を伝える。


練習に戻ったはずだから、今は体育館にいるはず……。

あたりを見回して、さっきの“彼”を探す―――。


前髪を上げていて……。


「赤いゴムで縛っていた!」


そう、その“彼”がこっちに向かって笑顔で駆け寄ってきた。


「あっ、木下先輩。 お疲れ様ですっっ!」


そうそう、この人だ!

あたしは少し、興奮気味に手伝ってくれたことを報告しているのに……。 どこか、空気が悪く感じる。


そして“彼”の視界からあたしを消すかのように、いっくんがあたしの前に立った―――。


「えーとっ、西村だっけ?」


「はいっ、そうです」