先生のお望みのまま


「そのままでいいから聞けよ?」



抱きついたままの私の耳に低い声が柔らかく響いて私はドキドキしながら、コクリと頷いた。




「夢なんて必要ないなんて悲しいこと言うな。確かに今、藤原は結果として夢を諦めたが、俺はそれは決して無駄じゃないと思うぞ。これからそれをどういかしていくのかは藤原次第だが、あれだけ思い切り頑張れた藤原だからこそ友達として誇ってやれ。」





「そうだよね!杏華ちゃんは負けたんじゃないよね。」


私は霧が晴れたような気がした。
そうだ。私は杏華ちゃん自身に私の友達の杏華ちゃんを否定されたような気がしてたんだ。誰かにそうじゃないって、杏華ちゃんは今までと変わらず凄いんだって言って欲しかったんだ。