ゴクセンが哀しそうな目で、今頬に当たった自分の右手をきつく握り締めた。
「それ以上心にもないことを言うな。お前が傷付く。」
涙がこみあげてきて、溢れてくる。胸のつかえを吐きだすように声を出して泣いた。
「あ、すまん。痛かったか？止めたかっただけで、軽くしたつもりだったんだが。大丈夫か？」
ゴクセンが焦ったように謝っている。
そうじゃないと伝えたくてイヤイヤをするように首を横にふるけど、ゴクセンは頬を見ようと顔にあてた私の手をはずそうとする。こんな醜いところを見せたのに、さらにみっともない泣き顔なんて見られたくない。
とっさにゴクセンに抱きついた。顔を見られたくない一心で…。「ごめんね。」心で謝りながら、溢れてくる涙を止められないでいた。
