「先生杏華ちゃんの話聞いた?」
「あぁ藤原か。何でも競技をやめてメンタルトレーナーを目指すって言ってたな。そっちの大学に志望を変えてたぞ。」
「うん。この間その話を杏華ちゃんから聞いたんだ。何だかすっごいショックで…。今でもどうすればいいのかわからないんだ。」
「何がそんなにショックだったんだ?何か言われたのか?喧嘩したのか?」
こちらを向いて真剣に話をきいてくれるゴクセンにうまく話そうとするけど、とっ散らかった頭の中からは的確な言葉は出てこない。
「先生、将来の夢って本当に必要なのかな…。」
出てきたのはこんな抽象的な言葉だった。
それを聞いた先生は何だかひどく痛そうな顔をしていて、私はとっさに話を誤魔化そうとした。

